JOURNAL

2023/12/04 22:02

③詳細設計

前回の概念設計(企画やコンセプト)と、実現可能な機能を調整します。
コスト、強度、材料選択もここで判断します。機能やコンセプトのための設計に問題がないかをチェックする重要な項目です。

このホイッスルのコンセプトは
「超軽量小型かつ大音量で鳴らしやすいホイッスル」

- 軽量小型性能
- 音量
- 鳴らしやすさ
- 聞き取りやすさ

小型シンプルなアイテムなだけにどの性能が欠けてもいけないので慎重に、図面を修正して改善していきました。

実はv1では1機室で単調な音程を研究しました。
私は吹奏楽部での経験もあったため、「周波数がぶつかると気持ちが悪い」という感覚を身につけていたため、ホイッスルを2機室に変更し、森や風切り音のする山でも聞き取りやすい音を追求しました。


さらに人間の耳が聞き取りやすい音域が2000~4000Hzあたりと言われます。
世の中の通知音や電話の音などは比較的高音域に位置します。
市場の音の中で聞き取りやすいと感じたE7 2500 [Hz] A=440[Hz]という音程を目標に設定しました。


さらに音量に関しては空気の速度と空気の逃げ方が重要だと考え、断面を飛行機の翼のように曲線を描き、空気の流れを整えて流速を早くなるように工夫しました。


- 安全性の検証
- 強度の検証
- 咥えやすさの検証
- ストラップの強度の検証

までも行い、問題が見つかれば改善し図面へ反映させます。品質確認の最終段階なので、デザインレビューのフィードバックも参考にします。詳細設計は製品によって内容が変わります。

途中でストラップホールをやめて、クリップタイプへ変更させたりもしましたが、耐久性の懸念からシンプルなストラップホールへ戻ったり、紆余曲折ありました。



強度と重量のバランスも難しく、強度が強すぎては重くなり、軽すぎては脆くなります。
バックパックの下敷きになっても、踏み潰してしまっても、適切なバランスをクリアするように独自の基準を設けました。

この詳細設計の段階で最終図面を完成させ、自分の中でアウトドア活動時の緊急用ホイッスルに最適なデザインをしました。



④生産設計

生産を意識した設計ができているかを確認する、設計プロセスの最終段階です。
今回は金型ではなく、3Dプリンターでの生産です。樹脂の種類によって生産できるかが変化します。
今回採用した樹脂はとても印刷が難しく、簡単に歪んでしまいます。その歪みを発生しない様に設計を変更していきました。
現実的な生産のために再び詳細設計へ戻ったりもしたりを繰り返します。

この時点でVer16となりましたが、マイナーチェンジも含めてで52種類の図面を描いておりました。
プリントするためにはプリントのための配置なども重要となり300個以上の試作を繰り返し、「3D Whistle 2g」が誕生しました。


そして今年は「3D Whistle 2g」の新商品として蓄光性の樹脂を採用した「3D Whistle 2g with GLOW」を発売しました。

現在は日本全国のアウトドア用品店へお取り扱いいただいております。このホイッスルはアウトドアをしていない人へも、アウトドアをこれからする人へも、どんな人へもお届けできればと考えております。緊急時に手元になければ意味がありません。
なのでこの商品は極力品切れを発生させないように余剰在庫を考慮して生産をしております。

「3D Whistle 2g」は緊急時に本当に使えるホイッスルに設計できたかと思います。
常に持ち歩いて欲しいアイテムなので、ファッション的にも楽しんでいただけるよう今後カラー展開を増やしていきたいと考えております。

存在感も忘れてしまうほど小さいのに、存在を知らせる重要なアイテムです。
このホイッスル「3D Whistle 2g」をぜひ使っていただけると嬉しいです。

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