¥66,000
■スペック
商品名:CREST 40
品番:
重量:約1000g
材質:ナイロン、ダイニーマ(高強力ポリエチレン)、PUコーティング
カラー:ブラック、ホワイト
サイズ:S/M、L(UNISEX)
生産地 : 日本 愛知県岡崎市
本商品は受注生産となっております。SNSでの告知をお待ちください。
■開発ノート
MIYAGENを始めると決意したとき、最初に形にしたのがこのバックパックです。
酒屋の「宮源」を続けていくために。PCTを歩くために。アウトドアメーカーとしてやっていくために。
いくつもの理由が重なった状態で、最初の一歩として作った、ロングトレイル/縦走用のバックパックです。
補給を必要とするロングトレイル用のバックパックは、いま30〜40Lあたりが標準だと思います。
30Lは、装備の取捨選択が極まったULハイカー向けの世界です。ベースウェイトを3〜4kgまで詰め、余計なものを持たない。体力も経験も揃った人が成立させる領域だと感じています。
一方で、多くの人にとってロングトレイルのスタートは「まだ体も感覚も仕上がっていない状態」から始まります。
食料の量、防寒、雨具、万一の余裕、時にはカメラや嗜好品。削りきれないものが必ず残る。
その現実を前提にすると、30Lに押し込むより、40Lの“安全マージン”を乗せた容量が必要だと考えました。
大手メーカーのバックパックは、「背負う構造」を最優先にして荷物が軽く感じることを追い求めてきた歴史があると思います。
その完成度の高さは、古い設計でもどこかあっと驚くアイデアがあります。
ただ企業として大きくなるのと同時に、長く使える耐久性を前提にすることで、ユーザーによっては“過剰”になってしまう領域もあります。
そこで私は、ULとして必要最小限を守りながら、工学的な仕組みと背負いやすい構造、そしてメーカーとして成立する耐久性のある素材を、同じラインで両立させたいと考えました。
荷重を受け止める仕組みを、ベルトやパッドだけに頼らず、フレームを含めて全体で設計する。
歩行時の荷重変化を想定し、形状と剛性のバランスを追い込み、現場で確かめながら更新する。
“背負った瞬間の気持ちよさ”より、“丸一日歩いた後に効く設計”を狙っています。
CREST 40は、目立つギミックで驚かせるバックパックではありません。
地味に使いやすい。背負い心地がいい。
一歩一歩の揺れやズレを減らし、疲労と判断ミスを減らし、結果として遠くへ連れていく。
MIYAGENがやりたい“Trail Engineering”を、ど真ん中の王道のバックパックで表現した道具です。
ちなみに1回目のPCTではレイジャーディンのバックパックにフレームを入れた設計をしており、2回目のPCTで現在の膨らみがあり、身体の上部に重心を置いたデザインになりました。
■設計ノート|CREST 40
・全体設計:背負う“構造”から作る
CREST 40は、ベルトやパッドの感触だけで「背負いやすさ」を作らない設計です。
狙ったのは、歩行中に荷重が上下左右へ意図せぬ方向へ暴れないこと。荷物が揺れると、疲労が増え、フォームが崩れて、自然を楽しめなくなっていきます。
腰ベルトは10kg程度の重量になるとある方が楽だと考えており、
ショルダーベルトはなるべく胸に荷重が乗るように、
全体の揺れを抑えるために、荷重がどこを通って体に入るかを最初に決め、フレームを含めて設計しました。
フレーム、縫製パターンは全て3D CADで身体から設計し立体的なパターンにしています。
パ・ターン設計:見た目はシンプルで立体裁断
重心が上部に来るように、逆三角形のパターンを採用しています。パッキングをしていても自然に重心が上に寄り、歩行中の安定につながる設計です。
パッキングは、
ボトムに寝袋、中央にクッカーや着替え、テントで使う道具、上部に食料。
この“行動中の現実”に沿って、使いやすさと安定性が出る形にしています。
また、ルミナナサック10Lがぴったり入る寸法感で設計しています。
・フレーム:軽さと「必要な柔軟性」を残す
フレームは、軽さだけを追うと柔らかすぎて荷重が遅れて付いてきます。逆に硬すぎると体の動きに追従せず、局所的に当たりが出る。
CREST 40は、歩行時の荷重変化を前提に、形状と剛性のバランスを追い込みました。
背負った瞬間の気持ちよさより、数時間歩いた後に「ズレてない」「痛くない」「揺れてない」と感じる方向を優先しています。
そしてフレームを通して、荷重が全身へ分散するようにしています。
このフレームは3Dプリンターとカーボンで構成されており、ハイカーや登山ガイドの方に何度も破壊されて行き着いた形です。
・ショルダーとウエスト:適度な硬さと柔らかさ
フィットは、背面だけ/ショルダーだけ/ウエストだけを良くしても成立しないと考えています。
荷重の受け方は3点が連動して決まるため、CREST 40は“全身で身につける”ように設計しています。体格差や季節のレイヤリングでも破綻しにくいよう、当たりを分散し、調整幅を残す方向でまとめました。
ショルダーハーネスは3種類のスポンジを組み合わせ、人それぞれの身体の凹凸を吸収する構造にしています。コストがかかる部分ですが、ここは妥協しませんでした。見えないのが残念なポイントですが、フレームとの相性が最も効く場所です。
また、肩の背部とショルダーハーネスの間にあえて隙間ができるようにしています。
一般的には隙間がない方が良いと考えられがちですが、隙間がない設計は肩上げがしにくく、疲れにつながると考えています。荷重をフレームを通して胸に荷重を乗せるためにあり、この「肩の隙間」は必要なマージンです。
・サイドポケット:行動中の動線を優先する
ロングトレイルのストレスは「止まる回数」と「探す時間」で増えていきます。
そのため収納は、容量の大きさより“アクセスの速さ”を優先しました。
サイドポケットは2Lのペットボトルが入るほど大きく設計しています。ロングトレイルではテントを最後に収納することが多く、テントが入るほどの容量が必要でした。
出し入れのしやすさにも配慮し、手がエッジに届けば開閉しやすい形状にしています。
・拡張性:全周デイジーチェーンで“完成”しないデザイン
ロングトレイルは、ユーザーの工夫が最適解になる場面が多い。
そこでCREST 40は全周にデイジーチェーンを配置し、固定・拡張・外付けの余白を残しました。メーカーが使い方を決め切るのではなく、ハイカーが現場で最適化できる設計です。
また「常にフル装備」ではなく、状況に応じて構成を変えられることを性能と捉えています。
軽装の日、強風の日、雨が続く日、補給直後で重い日。同じ40Lでも要求は変わる。
今後、モジュールのラインナップを増やしていく予定です。
・素材:軽さと耐久性の“使う場所”を分ける
耐久性は大事ですが、全部を過剰にすると無駄な重量になります。
CREST 40は、ダメージが入りやすい箇所・荷重が集中する箇所・擦れる箇所など、役割に応じて素材を使い分けています。
「全部強い」ではなく、「必要な場所が強い」。
さらに、X-PAC以外の生地はMIYAGEN用に生地メーカーに作っていただいている独自生地です。
・量産性:メーカーとして成立する“再現性”
MIYAGENは道具として出す以上、再現性と品質が必要です。
個体差が出やすい工程は設計で吸収し、縫製や組み立てが安定する形に落とす。軽さだけを追って“作りにくい形”にしないことも、設計の一部だと考えています。
裁断については、裁断するためのレーザー裁断機を自作し、ほつれにくい裁断を行っています。
・フィールドでデザインされた設計
荷重を入れて歩く、使い続ける、想定外の扱いを受ける。
その現実の中で更新していくことを想定しています。
ハイカーからフィールドでの報告を受けて進化する。
CREST 40は、これからも更新をやめず、トレイルで鍛えられていくバックパックです。